■ 上場基準は表と裏の2種類ある
上場基準には形式基準と実質基準の2種類がある。
どちらにも違反していない会社だけが、IPO(上場)できる。
では、1つではなく、わざわざ2つの基準を作っているのだろうか。
すでに漢字だけで、うすうす理解できるかもしれない。
答えは、誰もが読める紙に書かれた基準だけでは、それさえクリアすれば、どんな会社もIPO(上場)できてしまう。
証券市場でお金を集めて株主が増えれば、利害関係者が多いので簡単には上場廃止にはできない。
つまり、上場してから問題が発覚するのは困るのだ。
そのため、問題が多そうな会社がIPO(上場)するのを断る口実として、紙に書かない基準を作った。
では、具体的に、それぞれは、どのような基準なのだろうか。
■ 役員になるべき人は慎重に選ぼう
未公開会社の場合、役員を親族が占める場合が多い。
しかも、役員が所有する不動産を借りていることもよくある。
この状態のままでは、上場は難しい。
上場の申請時には、必ず、役員とその取引は厳しくチェックされる。
ここで、親族とは役員から見て、二親等以内を指す。
さらに、役員との取引の「役員」には、役員持株会、役員等によって過半数以上が支配された会社、財務諸表規則上の関係会社とその役員も含む。
役員の名前、役員との取引は有価証券届出書に詳細に載る。
IPO(上場)すれば、全国の誰でもインターネットで簡単に検索できてしまう。
親族にお金が流れていることを投資家が知れば、株価が上がるとは思えない。
本当に、この役員でよいのか、この取引には問題ないのかと検討して欲しい。
■ IRって、何をすればよいのか
IRと聞くと「難しい、横文字は分からない」と思うかもしれない。
(IRの正式名称は、インベスターリレーションズ)
でも、ホントは簡単。
「株主に20分以内に事業を説明すること」
と覚えて欲しい。
上場するときには、あなたの会社の株式を証券会社が売りさばく。
このとき、個人投資家に説明する時間がある。
この時間だが、だいたい20分ぐらい。
説明会の開催時間が2時間あっても、投資家が集中できるのは20分。
これだけで、理解させる。
でも、そんなにびっくりするほど短い時間ではない。
■ IPOの直前には必ず税務調査が入る
IPO(上場)の直前になると、税務署から電話がかかってくる。
「税務調査に入りたいんですが。」
「今、IPO(上場)の準備で忙しくて、調査をもう少し延期してくれませんか?」
と答えても、
「そちらの状況もよく分かっていますが、仕事ですからお願いします。」
と押し切られる。
これは、税務署の職員にも転勤や異動があるため、その中で調査を終わらせたいという気持ちがある。
少しなら延期できても、長期間の延期はできない。
調査が入る理由は簡単だ。
まず、資本政策によってIPO(上場)の直前期には資本金が大幅に増える。
役員も増員されて、監査役も交代する。
子会社や関連会社も整理される。
法務局から税務署にこのデータが送られるので、何かやっているなと感ずかれる。
次に、IPO(上場)の直前には資本金が大きくなることで、事業も急激に拡大する。
利益もできるだけ出して、税金もたくさん支払う。
投資家に儲かっているというアピールをする。
これは税務署に対しても、儲かっているというアピールにもなるのだ。
税務署としては、ちょっと見に行きたくなるのが心情だろう。
■ あなたが目指すべき売上と利益は
「IPO(上場)するためには、目標にする売上と利益をいくらにすればよいですか?」
という質問をよく受ける。
実際に証券市場を見ると、1億円の利益でIPO(上場)した会社もある。
10億円の売上でIPO(上場)できた会社もある。
ところが、一方で
「10億円の売上や1億円の利益では、IPO(上場)なんてできないと証券会社の担当に言われた。」
という話もよく聞く。
実際には、証券会社によって違うのだろうか。
実は、自分が目指すべき売上と利益は、自分で探すしかない。
会社ごとに目標が違うため、人は教えてくれないのだ。
では、どうやって探せばよいのだろうか。
■ 新株予約権を社長に発行しよう
監査役はストックオプションをもらえない。
IPO(上場)したら儲かる立場では、監視役にならないから。
それ以外の人は、資本政策で問題がなければ、誰でもストックオプションをもらうことができる。
ストックオプションとは発行するときにもらう人が1円も支払わなくてもよい新株予約権のこと。
つまり、IPO(上場)したときに、もともと決まっていた価格(行使価額)でストックオプションを行使すれば上場株式がもらえる。
「行使価額<IPO(上場)したときの証券市場での株価」
となっていれば、すぐに証券市場で売ることで、差額が絶対に儲かる。
しかも、税金は利益の10%でよいという特例があるので、90%が取り分。
もし、IPO(上場)しなかったり、できても「行使価額>IPO(上場)したときの証券市場での株価」の場合には、行使しなければよい。
もともと無料だから損はない。
■ 営業権の減損で大赤字になるM&Aは止めよう
IPO(上場)する前に、一気に売上と利益をかさ上げしようと考えて、似たような業種の会社を買収(M&A)した。
M&Aした会社の資本金は1,000万円。
一方、売上は10億円で利益は税引前で毎年1億円にもなる。
そのため、第三者に株価算定を依頼して、3億円でM&Aした。
M&Aの方法はいろいろあったが、IPO(上場)するときに子会社があると監査上の問題や経理も連結で煩雑になる。
そこで、合併という方法をとった。
ここで、資本金1,000万円と売買金額の3億円の差額が営業権として、決算書上に資産として計上された。
ここまでは、何の問題もないし、会計上の処理も合っている。
しかし、監査法人から、決算期(上場の直前期になる)に営業権を全額償却して欲しいと要求された。
社長は、
「買った会社は技術力がある。その超過収益力として3億円が営業権になっている。第三者の株式評価の報告書もある」
と監査法人に主張した。
■ 上手な増資が、IPOを早める
上場するためには、お金が必要になる。
IPO(上場)した後ではなく、上場前ということがポイント。
これは、どんな事業でも、儲かってくると有名になる。
マネする会社が増える。
今や、競争相手は国内だけではなく、海外から進出してきた子会社も無数にある。
マネしなければ、もっと最悪。
価格競争で値引き合戦になるからだ。
では、これを回避するにはどうすればよいだろうか。




