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■ 連結財務諸表の作成を単純にすることも社長の役目

IPO(上場)を準備するときには、必ず、IPOのための資料の作成に専念する人材を雇う。
売上や利益を増やすために、どうしても営業部門に力を入れる。
そのための組織を作り、人材を雇う。
経理や財務はあまり重要視されない。
社長はおろか他の役員でも、経理がまったく分からないという始末。

これでは、面接しても適格な質問もできず、よい人材なのか判断できない。

「簿記資格を持っていて、経理経験も5年あります」

と言って入社した人でも、本当に経理だけしかできない。
キャッシュフロー計算書や付属明細書を作るのが精一杯。
連結財務諸表の作成は不可能だろう。

昔なら、監査法人に聞けば、いろいろ手伝ってくれたが、今は監査法人も冷たい。
監査法人が悪いわけではなく、作成は会社側の役割、チェックは監査法人の役割というように、しっかり区別されたのだ。
では、IPO(上場)を目指す、すべての会社が連結財務諸表を作成しなければならないのだろうか。

まず、連結財務諸表は連結納税とはまったく違うので注意が必要だ。
連結納税は、100%子会社の税金を親会社と合算して計算する制度を言う。
これは選択性であり、100%子会社があったとしても、連結納税にする必然性はない。
一度選択すると、やめることができなくなる。
連結納税制度になると損をする会社も多いので、事前に組織形態をシミュレーションするべきだろう。

一方、連結財務諸表は、IPO(上場)するときには強制的に作成させられる。
100%子会社は当然で、50%超で連結子会社の範囲になる。
さらに、資本関係が15%以上の場合でも連結(正確には持分法)の対象になることもある。

連結の対象の範囲は、監査法人が資本的関係と人的関係で決定する。
資本的関係とは、株主の持分比率を指す。
人的関係とは、役員を派遣していたり、多額の貸付をしている場合を指す。
資本的関係では20%が持分法の基準となるが、人的関係がある場合には15%以上でも持分法適用となる。
そのため、15%以上で連結の対象になると言ったのだ。
なお、連結子会社の判定は資本的関係で50%以上、人的関係がある場合には40%以上で連結対象となる。

なぜこれほど、連結財務諸表の話をするのかと言えば、すべての資料が連結財務諸表をもとに作成されるからだ。
昔は、単体が主で、連結財務諸表は付随した情報だった。
ところが、今は連結財務諸表が主で、単体が付随になっている。
キャッシュフロー計算書にしても、付属明細書にしても、すべて連結財務諸表がもとになる。
そのため、連結財務諸表の作成方法がわからないと、IPO(上場)するための資料は一切、作成できないことになる。

では、どうすれば、連結財務諸表を作成できる人材を雇うことができるだろうか。
結論を言えば、それほどまでに経験がある人材を雇うことは難しいと理解すべきだろう。
そのため、IPO(上場)するときには連結の対象になる会社をできるかぎり作らないことだ。
最悪でも100%子会社に限定すべき。
100%子会社は、まだ簡単に作成できるからだ。

そんなことで、組織を決めるのはおかしいと思うかもしれない。
でも、ちょっと考えて欲しい。
IPO(上場)するときに一番、足を引っ張られるのが、この財務諸表の作成と監査法人からの指摘ということも事実なのだ。
実際に、45日以内に連結財務諸表を作成して、さらに間違いがあってはいけない。
上場してからは有価証券報告書を作成するが、1箇所でも間違えれば、いちいち訂正届出書を作成して公表する。

社長として、今の組織をとるメリットから余分にかかる費用を差し引いて、マイナスになるような判断をしてはいけない。
組織を簡素化することによるデメリットから、削られる無駄な費用を差し引いてプラスになる決断をすべきだろう。
本当に関係会社が必要なのか。
100%子会社にはできないのか。

これをIPO(上場)するときには、もう一度、検討して欲しい。

(監修 公認会計士 青木寿幸)

投稿又は更新日時:2007年01月15日 18:19


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