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■ 関係会社の整理はどこまでやる

IPO(上場するとき)までには、関係会社は整理しなくてはいけない。
整理とは解散するという意味ではない。
もちろん、解散になる関係会社もあるかもしれないが、IPO(上場)する親会社との関係を整理するという意味。
関係会社の定義は、金融商品取引法(証券取引法)で決められている。
人事的な関係がある会社、または資本的な関係(議決権の20%以上を実質的に保有する)がある会社を指す。
では、なぜ関連会社の整理が必要になるのだろうか。

理由は簡単だ。
IPO(上場)すると、投資家のお金が一気に入ってきて、事業を拡大する。
ここまでは問題ない。
ところが、事業が拡大して、いろいろな仕事が増える。
未公開の時にはなかったような情報も持ち込まれて、仕事になる。
このとき、関係会社があると上場会社の本業以外の売上は付け替えることができてしまうからだ。

でもよく考えると、IPO(上場)して投資家のお金があったからこそ増えた仕事。
この売上も上場会社につけて利益を増やし、株価を上げるべきだ。
関係会社の売上になると、議決権の比率だけが親会社の決算書の反映する。
もし、本体の決算書を合算しないとなれば、一切、上場会社の株主のためにはならない。
これでは、どう考えても公正ではない。
この他にも関係会社が赤字であったり、債務超過であれば、将来、IPO(上場)した後に損失補てんをする可能性もある。

では、この関係会社は簡単に整理できるものだろうか。

まずは、関係会社を作る動機を考えてみよう。
次に、その動機から整理の方法を探ることがよいだろう。

1.売上と利益を事業部ごとに分けたいから
いきなり、1つの事業に絞って事業をやる会社はない。
いくつも同時にやって、そのうち1つ、2つが成功する。
ビジネスの成否には、運も関係する、景気も関係する、社員などの能力も関係する。

それを理解している社長は、事業ごとに会社を分ける。
もちろん、1つの会社でやってもよいが、計算が煩雑で、撤退するときも責任者の問題もあいまいになる。
絶対に会社ごとの方が利益も計算しやすいし、社長の責任も明確になる。
何が悪かったのかも、他の会社と比べることで一目瞭然。

ただ、このような理由で関係会社が多い場合には、単純に合併または営業譲渡すればよい。
くれぐれも、持株会社を作ってなどと考えはいけない。
IPO(上場)するためには、ムダな経費と意味のない組織を作っていけない。
持株会社は、上場会社が利用する方法だ。

2.社員を社長にすることで、やる気を引き出すため
IPO(上場)を目指す大きな理由の1つに、社員の目標を作ってやりたいというものがある。
会社が大きくなると、部長(マネージャー)という役職ができる。
もっと大きくなると課長という役職もできる。
ところが、この人たちは役員にはなれない。
もし、役員にしてしまうと、ほとんどの社員が役員になってしまう。

そこで、会社を分解することで、社員を社長にさせる。
自分の会社の決算書を読むようになれば、事業の仕組みにも気づく。
それが、実務に通じた社員教育になる。

このような理由で、関係会社が多い場合にも、IPO(上場)となれば、社員にとっても新しい目標ができる。
給料に関しては、社員にストックオプションを発行すればよい。
そのため、単純に合併または営業譲渡をすればよい。

3.相続税対策で作っている
誰かの助言で、株だけを持っている会社を作ると相続税対策になると言われて作る。
確かに会社を作ることで、相続税対策にはなる。
ただ、一度、作ったこの会社はつぶすことも、本体と合併させることもできない。
どうやっても、税金が発生してしまうからだ。
そのため、この関係会社はそのままにするしかない。
株式だけを持っているので、監査や審査上、問題にはならない。

ただ、必要以上に持株比率を高めてはいけない。
相続税対策にはなっても、所得税や法人税が高くなって、対策の意味がなくなる。

4.子会社に宅建業や投資顧問業などの登録をさせるため
政府に申請する免許は、兼業できないものが以外と多い。
また、免許を持っている子会社を通すことで、スムーズにビジネスが進むこともある。
例えば、不動産の投資や転売を行っている会社は、宅建業を持つ子会社を必ず作る。
売買する度に手数料が子会社に落ちるだけではなく、自分の物件を調査するのは他社よりも子会社の方が早い。
不動産の情報の扱いも簡単だし、手数料も分けやすい。

このような場合に子会社をつぶす方がよいのか、そのままで監査や上場審査を申請すべきかは、難しい選択になる。
残しておくことで、経理事務の煩雑さや審査上、問題になることが多ければ、思い切って清算することも1つの方法だろう。

以上のように、関係会社を持っている会社は多いと思うが、なぜ必要なのか、本当に必要なのかを考えて欲しい。
できる限りムダな関係会社は作らないことが、上場の審査では好印象であることは確かだ。

(監修 公認会計士 青木寿幸)

投稿又は更新日時:2007年01月29日 16:13


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