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■ 優秀な人材が集まっても、会社が儲からない理由

IPOを目指して事業計画書を作成するときには、事業別に売上や利益を作成する。
その事業部ごとの組織を分けて、それぞれの担当取締役と部長を決める。
この事業部はセグメントと呼ばれ、有価証券報告書にも、セグメント別の営業利益まで計算して載せる。
そのため、セグメント別の売上から使った経費を1年間細かく集計していくことになる。

これを作成するためには、経理部の人たちに大変な労力と時間がかかる。
ではなぜ、ここまでしてセグメント別の情報が必要なのだろうか。

単純に、会計基準でセグメント別の資料を作成するように決められているからではない。
上場会社とIPOを目指している会社を合わせれば、世の中に何十万社もある。
この人たちに意味のない資料を作らせるはずがない。
これらの会社もセグメント情報の重要性が分かっているから文句を言わない。

昔はこのセグメント別の情報はほとんど重要視されていなかった。
日本の会社は、セグメント別よりも会社全体や個人の効率化を重要視していたからだ。

例えば、日本の製造業は、工場の中で個々人が効率よく、フル稼働すれば単純に儲かると思っていた。
でも、実際に個々人の能力を最大限に引き出すと、ほとんどの会社が儲かるどころか、赤字になったのだ。
能力がある社員をたくさん採用しても、優秀な社員になるように毎日、研修を行っても、会社としては儲からないということになる。

実は、個々人が能力を最大限に発揮しても、絶対に能力には差がある。
そのため、工場でそれぞれがフル稼働すると、仕事が速い人の後には仕掛品という在庫が増えるのだ。
そして、仕事が遅い人の後に控えている人は、手待ち時間が増えたのだ。
これで、工場としての生産量が増えたとしても、それを上回る仕掛品と無駄な人件費が発生したのだ。

アメリカの製造業者は、このことを早くから知っていた。
そのため、アメリカでは、ABC会計やABM会計という手法が開発された。
簡単に言えば、工場に原材料を仕入れてから、できるだけ早く完成品までたどりつくための管理手法のこと。

これによって、仕掛品も最小にして、間接で発生する人件費も小さくする。
さらに、完成品が早く作られることで、1つずつの商品にかかる工場の賃料や経費も最小にすることができた。
売上が同じなら、完成品の売上原価が低い方が利益が大きくなる。

やっと日本の製造業も気づいて、工場ごと、セグメントごとの管理を始めたのだ。

もちろん、日本でもこれを早くから知っていて、工場での在庫をゼロにしていた自動車会社があった。
この自動車会社は、工場での在庫を強制的にゼロしているため、1つのラインで部品が足りなくなるとタクシーで在庫をとりに行くことすらあった。
無駄なタクシー代を支払ってでも、在庫が増えたり、間接コストが増えることを工場の人たちに許す方が、結果的にコストがかかることを知っていたのだ。
この会社は、今では世界一の自動車会社になった。

これは、製造業だけに当てはまることではない。
サービス業で、個々人の売上だけを集計して、成果主義で給料を支払う会社がある。
確かに、パソコンが発達し、個々人でセグメント別と言える会社もあるのは確かだ。

しかし、やはり最低でも3人以上で事業は行われる。
多ければ、商社など、千人単位で1つの事業になる。

このセグメントでの個々人がフル稼働すれば、お互いに会って会議する時間もなくなり、連携もとれなくなる。
バラバラに秘書や総務に仕事を依頼するため、忙しいときと暇なときの差が大きくなる。
会社は、忙しいときに合わせて、人数を調整するため、余分な人が増える。
もちろん、暇なときも社員は勝手に仕事を作ることができるので、見た目は忙しそうになる。

さらに、サービス業は製造業に比べて、事務所の賃料が高い。
秘書や総務がいるだけで、賃料がかかり続ける。
増えた給料に、この賃料もプラスされ、社会保険料もプラスされ、交通費もプラスされることを忘れてはいけない。

サービス業であっても、セグメントに入った情報を、できるだけ早く加工して客に提示することで、コストを削減できる。
それによって、セグメントごとの利益は最大になる。
そして、このセグメントが合体したものが会社になる。

セグメント同士で連携するプロジェクトがあれば、それぞれが自分たちの利益を主張するのではなく、仕事を早く終わらせることが会社の利益につながるのだ。
売上が決まっているプロジェクトを長引かせるほど、賃料や間接部門のコストは積みあがっていく。
これは、セグメントごとには分からない全社共通の経費であるため、セグメントごとには儲かっていたが、最後に集計すると赤字になってしまう。

つまり、どんなに優秀な社員を集めて、能力を最大限に引き出しても、会社は儲からないのだ。
それよりも、セグメントごとの管理が重要であり、その利益が最大になる組織を作らなければならない。

そのためにも、このセグメントの切り方には十分注意して、すべての担当取締役と部長がセグメントの意味を知っておくべきだろう。

(監修 公認会計士 青木寿幸)

投稿又は更新日時:2007年08月07日 17:13


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